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住まいづくり矛盾・・・構造計算(許容応力度計算)

「構造計算できますか?」

近ごろこんなお尋ねをされるお客様が目立ちます。
ここでいう「構造計算」とは「許容応力度計算」といって主要な部材の1本づつにかかる応力とそれに持ちこたえられる部材かどうかチェックする計算を指しているようです。

木造住宅の場合、3階建てにはこの「許容応力度計算」が義務付けられていますが、2階建てまでは「簡易(壁量)計算」が認められていて、ほとんどの住宅では構造強度を「簡易計算」でチェックしています。

さてこの「許容応力度計算」と「簡易計算」どちらの結果が構造的に安全といえるでしょうか。

許容応力度計算では一つ一つの部材が許容応力度に達しているかどうかチェックするわけですから安心確実といえるかもしれませんが、計算量は膨大になりコストもかかることになります。
一方簡易計算では主に壁量をチェック、梁等はスパン表でひろうだけですから名前通り作業量はかなり簡易で費用も抑えられます。

 

ということは
「構造計算」したほうが強度の高い構造になりそうで安心な気分になる方が多く、費用かけても「構造計算」したくなるというわけです。

ところが経験上、「構造計算」のほうが、「簡易計算」より強度で上回ることはほとんどありません。
逆に「簡易計算」のほうが上回ることのほうが頻度的には圧倒的に多くなります。

つまり
数十万円という費用をかけて安心はできるものの、結果的には「簡易計算」のものより弱くなっているというわけです。

 

どういうこと?
二つの計算方法を比較してみると

例えば屋根重量をとると

 

簡易計算では、「重い屋根」か「軽い屋根」かの選択をします。
ガルバニウム鋼板葺きなどの金属屋根なら「軽い屋根」を選択することになりますが、太陽光モジュールを載せると、この選択はとたんに「重い屋根」になります。

この時、この太陽光モジュールいったいどれだけ重いのでしょう。

ガルバ屋根材の重量は3.34㎏/㎡、太陽光モジュールは多めにみて架台含め20㎏/㎡とすれば合計で25㎏/㎡ぐらいでしょうか。
重い屋根の代表瓦屋根では軽い乾式でもおよそ2倍の50~60㎏/㎡にもなります。

つまりこの場合、簡易計算では重い屋根を選択していますから実際の2倍の重量で計算されることになります。

ところが「許容応力度計算」では実際の荷重で計算しますので、25㎏/㎡の荷重で計算されます。
結果は当然のことながら重い屋根で計算した「簡易計算」のほうが不利な計算をしますからより頑丈な構造になるのは「自明の理」といえます。

 

屋根重量は一例で、計算方法は「簡易計算」のほうが簡便ですが、なにかにつけ「より安全側」で計算されますので結果としてより頑丈な構造となるのは当然というわけです。

 

2階建てや平屋建てにおいての「構造計算」の必要性は。大開口や大空間を造る場合、壁の偏芯やずれやなど特殊構造や壁量計算では判定できない場合に使うというのが賢明かもしれませんが一般的な住宅の範疇では、費用をかけて構造計算した結果は費用をかけない簡易計算より強度的には劣る場合のほうがほとんどということになります。

但し、構造的にギリギリの設計をしようという場合には構造計算が役に立ちます。意匠的にこの梁は小さくして天井内に納めたいとか天井内ダクトを通すのに梁せいを小さくとか、どうしても耐力壁をなくしたいといったデザイン性を高めたい時には有効です。

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